分析相談室

気体の分析

   ガス成分は容易に均一化しますから分析目的は“何が入っているか成分を知りたい(定性分析)”あるいは“これらの成分が何%入っているか(定量分析)”を知りたい事になります。 当センターには気体を分析する装置は少なく、ガス専用のFT-IRあるいはガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC-MS)がある位です。
  当センターの質量分析装置も通常は液体を気化してガス分析する装置ですので、ガスを直接導入する分析は不得手で、未知のガス成分の分析の場合、試行錯誤しながら分析法を検討する必要があります。
  当機器分析センターでは所有していませんが、本学にはガスクロマトグラフ分析装置を所有している研究室があり、共同利用可能機器となってますので、担当者にご相談の上、ご利用下さい。

液体の分析

元素分析 ( ICP, 原子吸光)
 液体には水とアルコールのように容易に均一化するものと水と油のように全く融け合わない場合があります。また、固体微粒子が液体中に分散している場合やゾル状物質もあります。固体微粒子の粒度分布測定などは光散乱計が利用できますが、一般的には濾過などを利用して固体と液体とを分離します。ここでは均一に溶解する場合の分析について述べます。例えば、固体の合金の元素分析を行いたい場合、合金を酸で溶かして液体にすることが可能です。 このような溶液が準備できるならICP発光分光分析装置や原子吸光分析装置=ΑΑで定性分析は勿論、ppm場合によってはppbオーダーでの定量分析が可能です。ICPはアルゴンガスを高周波で超高温に加熱しプラズマ状態にします。その中に液体試料を吹きかけ、溶液中の元素がプラズマ化され、元の原子状態に戻るとき、エネルギーを放出してΔE=h・νの関係を満たす波長を有した光を発光します。 この波長は元素の種類によって決まっているため、波長を調べることで元素の種類が、この波長の光強度を検量線(濃度既知の試料から濃度と光の強度の関係)と比較することで定量分析が可能。元素によってはお互いの波長が重なる(干渉)ことがあり、干渉する元素が存在する場合は注意深く分析する必要があります。 原子吸光による元素分析は上述のガスと同様、液体も特定の波長の光を吸収するため、吸収端の波長と吸収強度を知ることにより、定性・定量分析が行える装置です。

分子構造解析 (核磁気共鳴装置=NMR, 質量分析装置=MS)
 有機あるいは高分子を適当な溶剤に溶かして液体とし、核磁気共鳴装置=NMRや質量分析装置=MSを用いて、分子構造を調べることが出来ます。NMRやMSは有機化学の研究者にとって不可欠であり、年間の利用率が最も高い装置となっています。

その他の分析 (IR, FT-IR)
 ICPや原子吸光=AAによって定性分析が可能なことは言うまでもありませんが、IR、FT-IRによっても液体測定用の部品が備えられていれば、定性・定量分析が可能です。蛍光X線分析装置も同様に液体サンプル用の試料ホルダーがあれば定性・定量分析は可能です。(現在は液体用サンプルホルダーを所有していません)。

固体の分析

   均一化し易い気体、液体の分析では全体の平均的濃度を調べることになりますが、固体では局所的に特定の元素が分布することは当たり前で、むしろ、均一化する場合の方が稀であると言っても過言ではありません。
 また、固体の場合、塊状、粉末、薄膜など試料の形態は様々で、例えば、これらの平均的な濃度が欲しいのか、あるいは内部の特定の部位での濃度が知りたいのか、表面の情報だけでよいのか、はたまた塊状試料の局所的微小領域のみの情報で良いのかによっても、分析方法も様々変化します。 比較的大きな塊状においてs濃度分布の様子が 何処をとってもほとんど同じであれば、塊状試料を切断して得られる表面から濃度分布を測定することができます。
  X線を利用した元素分析装置(電子線プローブ顕微鏡=EPMAや蛍光X線分析装置など)の場合には検量線法やZAF法など適当な濃度算出法がありますが、基板上に薄く蒸着された薄膜の成分分析、あるいは直径1μm以下の針状物質の濃度分析などではZAF法を試料形態に合わせて補正する 必要があります。
  補正は膜厚、物質の組み合わせなど様々な要因で異なってきますので、簡単に定量分析に応用できるわけではありません。補正係数が分かっている特定の物質の組み合わせであれば正確な定量分析も可能となります。
  以下は固体試料の形状と何が知りたいか(何の分析を行うのか)別に使用可能な装置の例を示します。

表面観察 (実体顕微鏡 光学顕微鏡 デジタル顕微鏡 SEM FE-SEM)
試料形状 観察場所 分析内容 利用可能な機器
塊状



薄膜
 表面

断面
表面観察 実体顕微鏡(数倍〜20倍) 光学顕微鏡(50〜400倍)
デジタル顕微鏡(数倍〜5000倍) SEM(数10〜数万倍)
FE-SEM(数10〜50万倍)
凹凸の定量 3D-SEM デジタル顕微鏡 表面荒さ計
原子間力顕微鏡=AFMスキャニングプローブ顕微鏡=SPM
3D-SEM (精密測定可)
膜厚測定 膜厚計
特殊微小部位
例)針状 
断面 断面加工 FIB  (nmオーダーでの微細加工)
断面観察 FIB(イオン像)

元素分析(SEM+EDS FE-SEM+EDS EPMA XRF)
試料
形状
測定場所 分析内容 利用可能な機器
塊状 表面 定量 EDS+SEM EDS+FE-SEM EDS+3D-SEM EPMA 精度が落ちる
断面・表面 定量 EDS+SEM EDS+FE-SEM EDS+3D-SEM EPMA 鏡面が望ましい
粒状 表面 定量 EDS+SEM EDS+FE-SEM EDS+3D-SEM EPMA XRF 
精度が落ちる
微粉末 半定量 XRF  粉末を固化 or ガラス化 標準試料による定量も可
基板上の
薄膜
 
厚さ

以上
表面 定量 EDS+SEM EDS+FE-SEM EDS+3D-SEM EPMA  XPS=ESCA  AES
5μm
以下
半定量 EDS+3D-SEM EPMA   XPS=ESCA  AES (膜厚補正が必要)
1μm
以下
定性・
半定量
XPS=ESCA(分析領域:10mm×10mm or φ10μm=微小部XPS)
AES=オージェ電子顕微鏡(分析領域:φ1μm以下が可能)
薄膜
単体
内部 半定量・
定量
EDS+TEM
(化学的研磨、イオンミリング、FIBなどによる薄膜化が必要)

結晶構造解析(未知物質の特定)(XRD TEM)
試料形状 測定場所 測定法 利用可能な機器
塊状 表面 高温 XRD(X線回折) 高温炉(オプションあり)
微小部(オプションあり)
薄膜法(オプションあり)
粒状・粉末 微小部
基板上の薄膜 薄膜
微粉末 内部 電子線回折 TEM
薄膜

未知物質の特定(FT-IR 顕微FT-IR)
試料形状 測定場所 測定法 利用可能な機器
板状 表面 反射法 FT-IR 顕微FT-IR (ただし、データベースと比較可能であること)
内部 透過法 FT-IR 顕微FT-IR (ただし透過性物質に限る)

内部欠陥検査(TEM)
塊状 内部 表面近傍 X線透過装置(内部)
薄膜   TEM(膜厚0.1μm以下)

その他の機器による固体分析(単結晶自動X線構造解析装置、ESR、SQUID、ZEM-1、BET、光散乱計、レーザーフラッシュ熱拡散係数測定装置)
試料形状 サイズ 分析内容 装置名
φ1mm程度 単結晶の分子・結晶構造 単結晶自動X線構造解析装置
円柱、角柱 3×4×20mm以内 熱物性(ゼーベック係数) ZEM -1
円柱、角柱 電気抵抗温度依存性
粉末   比表面積 BET
懸濁液   粒度分布 光散乱計
懸濁液 ゼータ電位
円板 φ10mm×3〜5mm 熱伝導率 レーザーフラッシュ熱拡散係数
測定装置
固・液・気体 液体は専用セル 電子・原子の状態分析 電子スピン共鳴装置=ESR
固体   精密磁気特性 SQUID
塊・粒・円柱状 5mm程度 炭素・硫黄の
定量分析装置
炭素・硫黄分析装置
固体 2mg程度 有機元素の定量分析 CHNコーダー
固体 平滑面 硬さ 超微小硬さ計